社長だより vol.53

【うれしいいただきもの】

 3月初めに鶯の初鳴きを聞いた。立派な「ホー、ホケキョ」であった。そして4月7日につばめを見た。いつもだと田植えの時と思うが、今年は何かいいことがあるのかもしれない。つがいがよくぶつからいものだと思うほど急旋回急上昇を繰り返している。時折視界から消えるがきっと巣の点検でもしているのだろう。
巣というと、しばらくぶりでマイ畑に出掛けたら、カラスが去年と同じ場所に大きな巣を作っているではないか。ほぼ完成している。あわてて壊したのだが、1週間後また作り始めている。諦めさせるために近くの巣作り材料を集めて焼いた。というのも、昨年は相当に被害を被ったので今年こそはの思いをカラスに伝えたかったのだが彼らは分かっただろうか。それとも毎日見回りするわけでもないので今年も返り討ちか。

 嬉しいことや悪いことはよく重なると言われるが、先日1日のうちでこんな嬉しいことが続いた。
 その1
 午後、プラントメーカーさんが来社されたのだが、この方はいつも東京の木村屋のあんパン木村屋のあんパンをお土産に持参される。小ぶりだが酒種生地、しっとりやさしい味だ。今はやりのバターで胸焼けするだけのパンとは違う。今年150周年だそうだ。この歴史が味といってもいい。安達巌*が「餡餅の皮をパン生地に変え、これに小豆餡を包んで焼いたもの・・日本酒のもとを発酵源としているので日本酒の香りがありこれなら日本人社会に抵抗なく受け入れられること間違いなし」と書いている。また、来社される方のメール文章は和む言葉遣いをされる。私には一生かかっても真似できない。この方、まだ40歳そこそこ。どこでそのような心を身につけられたのだろうか。こうゆう方に社長になっていただきたいものだ。
 その2
 夕方早めに帰宅したら、家内が、向かいの奥さんが、“シイタしいたけケがとれた”と言って両手に余るほど持ってきてくれたと言う。当然、夕食にホイル焼きのシイタケが並んだ。私も昨年秋にほだぎを13本買って駒を打った。3本はなめこだ。今春はなると思って期待していたのだが、今のところその気配がない。暗いところにただおけばいい、なんてよこしまなところにはきっと出てこないのだろう。家内に“もっと榾木を買う”と言ったら、一蹴されてしまった。やはり向かいのご主人のような手入れができなければ了解は得られない。
 その3
 夕方、湯河原から冷蔵宅急便で筍が着いた。私の駄文にいつもさりげなく筍 ご批評をいただく方だ。ヒヤッとしている。大きいほうを縦に割り従姉へ、小さいほうは義兄に即配達することにした。家内は折角新鮮なのだから直ぐに煮るという。私はてっきりコメのとぎ汁かと思っていたら、以前から米ぬかを使っているとのこと。煮立っている匂いを嗅いでみたらあっさり作った豆乳とかホワイトソースのようだ。竹串が通れば後は一晩水にさらせばいいとのこと。翌日の味噌汁に早速出てきた。本当にサクサク感がある。家内が好きなのもわかる。
 その4
 筍と一緒に母がたの従姉から仙台の笹かまぼこと仙臺駄菓子も届いた仙臺駄菓子。駄菓子も私の好物の一つ。同じような袋菓子もあるがありがたみが違う。機械でつくれば形も味も一緒。金太郎飴だ。しかし、手作り駄菓子には歴史や職人の息遣いを感じ、思わず見とれてしまう。駄菓子と言えばなんかレトロのイメージもあるが、いただくと懐かしさで美味しさがこってり倍増する。私は特に『ねじり』が好きだが、これは家内と意見が一致する。

*文芸春秋編 巻頭随筆 『明治天皇とあんパン』

令和元年.5月