2022.10.03 | エコムジャーナル

エコムジャーナル No.27

【彼岸花】

 日ごと空が高くなる秋彼岸の頃、赤く燃えるように咲くのが彼岸花。この花を“はっきりと意識したのは今から15年前”、伊勢からの帰りの特急列車だった。幸運にも最前列で文字通りくぎ付けになった。線路際に延々と群生し目を奪われた。今もこの時期になるとあの車窓のことを思いだす。  

 彼岸花といえば仏花とも言われ、墓地の卒塔婆の周りにあるようなイメージがあり、知らんぷりしていた。ただ、仏花と言われる割に色といい形といい、実に艶やかな花である。曼珠沙華ともいうがこちらの呼び方がいいのかもしれない。より仏様に由来する語源を感じる。戦後歌謡曲で渡辺はまこがつやっぽく歌っていたと思うがはっきりしない。

 この花の根には毒があり、その毒を松くい虫退治用の薬品にしたらどうかと提案をした友人がいた。しかし、相手にされなかったという。県内で羽越本線と7号線が平行して走るところが所々ある。特に由利本荘市、道川付近のJR側、まだ10年生ぐらいだろうか、いたるところに枯れているのを見る。痛々しい。何か松枯れを防ぐ手がないのか、空の高さにお願いしたくなる。

 彼岸最終日、おはぎを食べたくなり目覚めてすぐ“行こうか”となり、山形最上川戸沢まで走った。ここのぼたもち屋、どれもが甘さ控えめでおいしい。ことのほか黄な粉は、車の中にふわっと香りがひろがる。来た甲斐がある。帰りに近くの「ぬるぬる温泉」につかり、鳥海山をドライブして所要時間約7時間の心地よい一日だった。