エコムジャーナル No.51
【3種の高級魚】
今ではなかなか食べられない高級魚、3種。「ハタハタ・ホッケ・サンマ。」これらを幼少時、“またかー”というほど食べたような気がする。しかし、今では高級魚、贅沢品だ。
ハタハタ
代表的な秋田民謡、秋田音頭、♪秋田名物八森ハタハタ男鹿で男鹿ブリコ・・・と歌われるハタハタ。日本海側の南は島根まで生息しているという。特に秋田では11月あられが打ち付けるころ産卵のために大挙して海岸によって来る。荒波の中、何艘も船にあふれるだけ積んで櫓をこぐ写真をよく見た。時として転覆し新聞一面にその悲しみも報じられた。
このハタハタ、うろこがなく身も柔らかく淡白なことで好き嫌いもあるようだが、秋田県民にとっては冬の大事なたんぱく源。塩焼き・みそ焼き・ハタハタ漬け、さらには塩漬けした汁「しょっつる」にと大活躍した。豊漁になれば、“箱代でいい”とトラックで売りに来て各屋やで舌鼓をうったものだ。しかしこの20数年前から激減し、今では1匹ブリコで800円もする。2~3匹は食べないと食べた気はしない。今ではめったに食卓には上らない。たまに、時季外れに底引きで痩せたハタハタにお目にかかる。“おー、ハタハタだ”
ホッケ
ホッケも身が柔らかで、あまり好きになれなかった魚だ。単価もずいぶん安かったようで我が家の食卓にはよく並んだ気がする。当時の国鉄に勤務していた父親の給料では分相応だったのであろう。ある時、遠足でおにぎりに塩ホッケが入っていたことがあった。匂いが今でも気になる。すっかり高級魚となった「ホッケの開き」を食べるとそのことを思い出す。それにしても「ホッケの開き」はうまい。
サンマ
秋田ではとれない魚だが、秋といえばサンマ。気仙沼からくるのか八戸からくるのかわからないが秋にはよく食べた。私は定番の塩焼きより、しょうが醤油できっちり煮たものが好きだ。サンマは「秋刀魚」と書くように細身だが結構身がしまりおかずになる。ただ、内臓あたりの小骨を取るのが面倒だ。最近はめったにお目にかかれない。
近藤嘉之