社長だより vol.3
【不思議な縁】
由利本荘市で製材業を営む親戚から、“奥の集落にある旧家、頼まれてつぶすことになった。下見に行ったら座敷の襖に字が書いてある。みるんだったら案内するよ”と、金曜の寝る前に電話があった。
もしかして、手の込んだ古い建具があるかもしれない。矢も楯もなく翌日朝に電話の主の先導で取り壊す家に行ってみた。外観はどうということもない。気落ちしながら低い軒をくぐり座敷に入った。薄暗く布団や雑多なものがちらばり、畳もところどころ落ちているところもあり、黴臭く薄気味悪い。“これなんだけど、”と指を指す。“えっ、これ石田白樹さんの書だよ”。“ふーん、こっちにもあるんだ。”続きの座敷に目を移すと七言絶句の漢詩。ゆったりとふくよかな時が流れるまさしく先生の行書だ。“欲しかったら、持って行ってやるよ”。思わず“欲しい”声が漏れた。
家に届いた襖の書はあの時見た以上に真っ赤にやけパキパキ折れる。さらに猫のひっかき傷での欠損、雨漏りなどでボロボロになっている。修復には半年以上もかかるそうだ。取りあえず、種苗交換会を始めた石川理紀之助翁の歌二首(かな)、襖二枚の修復を依頼した。お好きであったご酒後かとも感じさせるような筆の動き。下張りの新聞紙から、先生が60歳近くと思われる円熟期の作品だ。これだけの名品、滅多にない。落款も今まで見たこともない文人画のようなひょうたん型に“白樹”とある。
先生は秋田大学の元助教授で書道界の重鎮であった。奥様は毛馬内(現鹿角市)ご出身の『ゆたか』さんで「かなの名手」と聞いていた。先生が不在の時は奥様にも手ほどきを受けた。なけなしの家計の中から約10年書道塾に通わせた両親。今思えばなんと贅沢な子育てであったろう。
あとで襖に引き合わせてくれた親戚から、「石田先生は学生時代、近藤さんの奥さんの手形の実家に下宿していたそうだ」と聞いた。これもまた何とも言えず不思議な縁だ。年末修復が終わり我が家に帰ってくる。畳にながまって飽きるまでながめよう。
H25.7月
青森だより vol.2
6月11~13日と秋田出張中は毎日が30℃超えで猛暑でしたが、青森に戻ったら25℃位で避暑地のようにさわやかでした。
前号で紹介しました自衛隊のパレード、式典、行ってきました。
すごかったです、訓練展示。駐屯地内で仮想の敵に攻撃する訓練で、無線通信のやり取り、高射砲、戦車などからの攻撃、すごい迫力です。空砲なんですがとんでもない爆音でした。
自衛隊の皆様は、日本のために日々訓練と実務、災害対応等と頑張っていただき、本当に頭が下がります。
6月9日に交通安全協会の安全祈願日帰り旅行で五所川原市に行ってきました。
ちなみに、五所川原市の公共下水マンホールポンプの監視通報装置には当社で水神を納入しております。
旅行では「津軽金山焼き」と旧金木町の芦野公園に行き、稲垣温泉で昼食をとりました。
津軽金山焼きの売店ではいろんな種類の素朴な風合いの焼き物が売られております。また、陶芸教室もやっておりますので興味のある方は是非お立ち寄を。 津軽金山焼へようこそ!
芦野公園は、春には桜と津軽鉄道を撮る写真家が訪れる風光明媚なところで、太宰治の像やつり橋、オートキャンプ場があり家族連れも楽しめます。 (T.H)
金山焼きの像 | 売店内 | 公園案内 | つり橋 |
H25.6月
社長だより vol.2
【昔の夏みかん】
我が家に必ず毎年4月に、静岡の磐田から「昔の夏ミカン」と「新茶」が宅急便で届く。部屋中にツーンと新鮮な香りが拡がる。
送り主は、亡くなった父の戦友の奥さんのお名前だ。秋には「三ケ日のみかん」も送っていただく。秋田からは夏に、「いなにはそうめん」、秋は「大森のふじ」をお届けします。この“相互訪問”は、父と戦友の間で、昭和30年代初頭、夏みかんとリンゴで始まり、かれこれ55年も過ぎた。今はお互い顔見ぬ長男同士の付き合いだ。
今年もいただいた「昔の夏みかん」を仏壇にお供えした。毎朝家内と一緒にご飯とお水をあげ、“食べるか?”と顔を見合わせ、最後の1個に手をつけた。届いてからかれこれ1か月半以上も過ぎた。“しなぶけ”てしまったが、しっとりと重く、歯が浮くような酸っぱさは、子供のあの時に帰る。
父の海軍時代の履歴表と写真から推測すると、戦友とは支那事変で苦楽を共にしたようだ。磐田へは小学校低学年の時、家族4人でC58(だと思う)に牽かれた夜行列車(急行津軽)の2等車(ボックス席でクッションが良いだけ?)に乗ってお邪魔しただけだ。あの時、窓を開け目に何回煙(石炭)を入れただろう。目がごろごろして、両親に“涙を流せば取れる”と言われたことを思い出す。「昔の夏みかん」の木も二代目と聞く。亡き父の名代で戦友の墓参りもしたい。今度は「こまちとこだま」を乗り継いで家内と磐田へたどってみよう。
H25.6月
青森だより vol.1
青森県もやっと暖かくなり気温も20℃を超す日が出てきました。皆様の所はいかがですか?
5月19日青森県の中心に位置する八甲田山(いくつかの山の総称)付近を車で走りました。
道端にはまだ雪が残り、桜も咲いていました。
今年の春は寒い日が続き、例年より開花が遅れ、開花しても葉っぱもいっしょに出てきていたので、すごく損をした感じです。
写真は5月7日 日本の道100選に選ばれた十和田市官庁街通りの桜です。
さて、今回紹介させていただくのは、青森市で6月1日(土)、6月2日(日)に行われる自衛隊の行事です。第9師団創立51周年、青森駐屯地創立62周年の記念行事で、1日には青森市新町通りでパレード、新中央埠頭で祝賀式典、青い海公園で野外音楽演奏、2日には青森駐屯地で記念式典、訓練展示などが行なわれる予定です。
昨年の祝賀式典では、空からパラシュートで3名の隊員が降下し、横風が強いなか見事に着陸ポイントに着陸しておりました。訓練の賜物ですね。隊員の一人は青森県出身と紹介されておりました。青森県民として誇らしいです。
全国でも市中パレードは多くないとのことで、震災復旧でも活躍された隊員の皆さんの勇姿を見学してみませんか。普段、見ることができないものを間近に見ることができますよ。(T.H)
詳しくは、自衛隊のイベント情報(下記アドレス)でチェックしてください!
http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/9d/ibentnnai.htm
写真は昨年の模様です。
H25.5月
社長だより vol.1
【花木暦】
子供の頃は庭の片隅にもあった沈丁花。何とはなしになじめなかったあの匂い。しかし、いまはすっかり虜になってしまった。他界した父母がこの沈丁花が好きだったせいかもしれない。向かいのお宅から、道路越しに遠くまで漂う芳香力の強さ。外に出ると花のそばまで引きよせられる。爽やかで切ない香りだ。花好きの父母を思い出させ、胸が一瞬“きゅん”となる。
我が家の花木花暦。春一番が玄関前の目立たない“黄梅”だ。そして、縮れた錦糸卵のような“まんさく”、シジュウカラがすきな“馬酔木”の実。“モクレン”、ちょっと名前負けする匂いの“橘”の花、“つつじ”、そして夏始めの白粉のような“クチナシ”。橘の花にも似た“かりん”の花、シャイな“夏椿”、“金木犀”と続き、最後が“お茶の花”。今は“藪椿”も咲き始めてきた。しかし、『クチナシと金木犀・お茶』は今年の大雪と季節外れの寒さに見る影もない。親父、ごめんよ!
H25.5月